引っ越したら住民税はどこに払う?納付先や手続きについて
更新日:2020年2月5日
引っ越しの後、住民税は新旧住所のどちらの自治体に納めたらよいかわかりますか?いつから支払先が変わるのか、二重払いになることはないのかなど、引っ越しの際に住民税について心配になる疑問を解消できるようわかりやすく解説します。
住民税はその年の1月1日時点での居住地の自治体へ、前年の所得に応じた額を納付します。この居住地とは、住民票のある市区町村を指します。1月1日に引っ越しをしたらどうなるの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。転出届を提出する際、1月1日以降を転出日とすれば新住所の自治体へ、12月31日までの日付を転出日とすれば旧住所の自治体へ納付することになります。
住民税が「住む場所で税金が変わるのではないか」と思う人もいるかもしれません。市区町村によって住民税が変わるのであれば、入念に調べて引っ越し先を検討しようということにもなりますが、所得に応じて金額が決まる「所得割」について、一般的には住民税の税率は課税所得の10%で、ほぼ全国一律です。また、基本料金のような固定金額の「均等割」は都道府県民税が1,500円、市区町村民税が3,500円となっています。
ただし、上記の標準と異なる地域も一部あります。 たとえば、神奈川県では水源環境保全・再生のための個人県民税超過課税があり、令和3年度までは県民税が0.025%増えた4.025%となっています。市民税が6%なので、所得割の税率は課税所得の10.025%です。 名古屋市では市民税減税をしているため、所得割の最終的な税率が9.7%となります。
それでも引っ越し先を変更するほどの大きな違いはないと言えるでしょう。
引っ越しでは「住民税が二重に徴収されるのではないか」と思う人もいるでしょう。しかし、前述の通り二重徴収はできないようになっています。住民税を計算するのは、あくまでも1月1日に住んでいた自治体だけです。1月2日以降に引っ越ししたとしても、その年は前の住所に納付を続けることになります。新しい住所から納付書や督促状が届くような事態にはなりません。新しい住所に税金を納めるのは翌年からです。
通常、異なる市区町村へ引越しをする際は転出・転入届を提出し各種の情報を更新します。転出・転入届さえ正しく提出しておけば、納付先の切り替えとともに新しい住所から納税の案内があります。難しい計算も、手間のかかる書類作成も求められません。転出・転入届の出し忘れには気をつけましょう。
引越し後、役場に届け出を提出しないままでいると、いつまでも前の住所の自治体から住民税が請求されます。しかも、新しい住所の自治体に税金を納めなかったとして過料が科せられるケースもあります。過料は最大で5万円にもなるので、できるだけ早く手続きを済ませておきましょう。
引越しをしても、働き方に変化がなければ住民税の納付方法は変わりません。しかし、引越しのタイミングで会社員から個人業主になるなど、働き方が変わる場合もあるでしょう。会社員などで給与をもらっている人と、個人事業主では住民税の納付方法が異なります。
住民税の納付方法には普通徴収と特別徴収がありますが、会社員や公務員など組織から給料をもらっている人であれば特別徴収にしていることが多いでしょう。特別徴収とは、月々の給料から会社が税金の分を差し引いて納めてくれる方法です。その年度の税金が12分割されて天引きされていきます。特別徴収なら自分で税金の計算をする必要もありません。ただし、派遣社員の場合は必ずしも特別徴収になっているとは限りません。特別徴収のつもりでいて、後から滞納してしまっていた税金を請求されるようなことがないよう、しっかり確認しましょう。引越しにともなって退職し、次の勤め先が決まっていない場合や働く予定がない場合は普通徴収へ変更となりますが、退職日や勤め先によって残額を一括徴収してもらえるケースもあります。退職の際には相談してみましょう。
一方、個人事業主であれば、普通徴収で納税の手続きを進めていきます。普通徴収とは自宅に納付書が届き、郵便局や銀行、コンビニなどで支払う手段です。普通徴収は1年分をまとめて納めるか、分割で納めるかを選ぶことができます。分割の場合は年に4回、6月末、8月末、10月末、1月末を目安にして納税を行います。ちなみに、納税が遅れると延滞金が加算されますので注意しましょう。
特別徴収ではない場合、うっかり住民税を払い忘れてしまうこともあるかもしれません。払い忘れたまま納付期日を過ぎてしまったら督促状が届き、完納するまで延滞金が発生してしまいます。さらに長期間納付を怠ると最悪の場合、滞納処分で財産の差し押さえが発生することも。引越の忙しさで納付を忘れないようにしましょう。
住民税は、きちんと転出・転入届を提出していれば特別な手続きをせずとも適切に処理されます。ただし、引越しをきっかけに納税漏れが起きてしまうと高額な延滞金を支払うことになりかねません。引越しした後も安定して税金を納付できるよう、必要な手続きを怠らないようにしましょう。
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